バイオ後続品(バイオシミラーとも言う。)は、先行バイオ医薬品の特許が切れた後に、他の製薬会社から発売される薬で、先行バイオ医薬品と同等、同質の品質、安全性、有効性を有する医薬品です。一般的に、先行バイオ医薬品よりも研究開発に要する費用が低く抑えられることから、先行バイオ医薬品に比べて薬価が安くなっています。

(厚生労働省バイオ後続品(バイオシミラー)促進特設サイトより)

・抗がん剤、自己免疫疾患治療薬、成長ホルモンなど、19成分が承認されており、高額薬剤領域での代替手段として注目されています。

成分名主な効能販売年月(初発)
1ソマトロピン成長ホルモン分泌不全性低身長症2009.6
2エポエチンアルファ透析施行中の腎性貧血、未熟児貧血2010.1
3フィルグラスチム好中球減少症2012.11
4インフリキシマブ関節リウマチ2014.7
5インスリングラルギン糖尿病2014.12
6リツキシマブB細胞性非ホジキンリンパ腫2017.9
7エタネルセプト関節リウマチ2018.1
8トラスズマブ乳がん・胃がん2018.3
9アガルシダーゼ ベータファブリー病2018.9
10ペバシズマブ結腸・直腸癌・非小細胞肺がん2019.6
11ダルベポエチン アルファ腎性貧血2019.9
12テリパラチド骨粗鬆症2019.9
13インスリン リスプロ糖尿病2020.3
14アダリムマブ関節リウマチ2020.6
15インスリン アスパルト糖尿病2021.3
16ラニビズマブ加齢黄斑変性2021.9
17ペグフィルグラスチムがん化学療法による発熱性好中球減少症の発症抑制2023.9
18ウステキヌマブ尋常性乾癬、乾癬性関節炎2023.9
19アフリベルセプト糖尿病性黄斑浮腫2024.6

バイオシミラー一覧  (2025年6月時点)

バイオシミラーの置換率

厚生労働省バイオ後続品(バイオシミラー)に係る政府方針で、バイオシミラー全体の置換え率は2020年度で29.5%(数量ベース)と報告されています。バイオシミラーは高額な医薬品であり、置換えによる医療費の削減推定額は、年間最大1,000億円を超えると推定されます(図2)。図1に示すよう成分毎に置換え率に差があり、成分毎に置換えの課題が異なるため普及には適正な支援が必要になります。保険者インセンティブ制度(案)において、保険者によるバイオ後続品の普及啓発に係る指標として、「後発医薬品及びバイオシミラーについて更なる理解の促進を図るため、後発医薬品等の品質や使用促進の意義等に関する情報を記載しているか。」という⽂⾔も追加となっており、令和6年度実績分より評価予定です。

図1  成分別バイオシミラー置換率(数量ベース)                                            

(NDBオープンデータ第1~10回より作成)

図2 バイオシミラー置換時の医療費削減額の試算


(NDBオープンデータ第1~10回より作成)グラフ内の数値は最大削減額(億円)を示す。